一般社団法人大都市政策研究機構
大都市政策研究班

≪「大都市政策の系譜」シリーズでめざすもの≫

 都市は、18世紀の産業革命以来、人々の期待と欲望の実現に向けてさまざまに発展と増殖をくり返してきました。その間、環境の劣化で疲弊した都心を大胆に改造したり、未来をにらんだ理想を形にするための計画の提案と、その実現の努力が行われてきました。地球上に大都市が増えはじめた20世紀の政策では、主として業務地としての都心部と良好な住宅地を形成する郊外部との役割分担による都市構造の形成が主流となってきました。

 しかしながら、21世紀になって20年が経過するなかで、大都市圏における郊外部の停滞と、その一方での都心回帰現象が顕著となるなど、今までとは異なる都市構造の流れが見え始めました。そうしたなかで、突発的に発生したコロナ禍によって、再び郊外に人気がでるなど、都心部と郊外部の位置づけが改めて問われることになりました。

 これからの日本の大都市、とりわけ東京という世界を代表する大都市圏の姿を考えるときに、現在の人口動態、多様化する機能、都市活動そのものの変化などを捉え、将来のあり方を予測することは当然の理です。しかしながら、大都市の系譜のなかで、過去に試みられてきた計画家や施政者の叡智と努力を大都市政策の歴史から学ぶことも、また、未来を語るにあたっての欠くべからざる作業と考えられます。この世界の「大都市政策の系譜」シリーズでは、これからの大都市の政策がどうあるべきか、その答えを探していきます。