東京圏及び東京都区部での状況
4-1 東京圏の人口動向、転入・転出状況
ここで、東京圏(1都3県)に焦点を当て、総人口(住民基本台帳による人口)の動向をみると、2021年1月1日時点で3678万516人であり、前年と比べて2万6323人の増加(前年比0.07%増)となっている。2021年7月1日にかけてはほぼ横ばいの状況にある【表4】。
東京圏の転入・転出状況をみると、2020年の年間の転入者数は49万2631人、転出者数は39万3388人であり、9万9243人の転入超過であった。
2021年は、3月に5万7970人、4月に1万4566人の転入超過と、コロナ禍以前の2019年(3月6万9438人、4月2万6145人の転入超過)と比べて3割弱の減少となっているが、これまで大きく転出超過に転じたという状況はみられない【図5】。
【表4】 東京圏(1都3県)の人口動向
出典:総務省「住民基本台帳に基づく人口・世帯数」をもとに作成
2021年7月1日の人口は各都県の人口データをもとに推計
出典:総務省「住民基本台帳に基づく人口・世帯数」をもとに作成
東京圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県
4-2 東京都区部の人口動向
東京都区部全体の人口増減の総数をみると、2020年は2154人増と、2019年の8万3991人増と比べて大幅に低下している。区別には、江戸川区3956人減、新宿区3221人減、豊島区2946人減をはじめ、13区で減少となっている。
しかし、この人口増減を日本人・外国人別にみると、日本人の人口は東京都区部全体で3万1248人増と、2019年増加数6万3215人と比べて約5割の減少にとどまり、外国人の減少がより大きく影響を与えていることが分かる。区別には、品川区5258人増、江東区5095人増、世田谷区3756人増など、21区で増加しており、減少は江戸川区と葛飾区の2区に過ぎない。
この人口増減の動向を四半期ごとにみていくと、感染拡大の第2波、第3波が連続して訪れた2020年7~9月期、10~12月期には、日本人の人口が減少に転じた区も多くみられる。とくに、江戸川区、大田区、世田谷区、杉並区、板橋区など区部周辺区では、日本人の人口の減少幅が拡大している。
その一方で、千代田区、中央区、台東区といった東京都心区では、直近2021年1~3月期、4~6月期に至るまで、すべての期で一貫して日本人の人口が増加し続けている。コロナ禍のなかで、人口の都心回帰という現象がいっそう際立つ結果となっている【表4】。
【表4】 東京23区別の人口増減数(総数、日本人・外国人別、四半期別)
出典:東京都「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(各月1日時点の人口)をもとに作成
4-3 東京圏(1都3県)各市町村別にみた人口動向
最後に、東京圏(1都3県)の各市区町村別に、2020年の1年間の人口増減の状況を地図上で示す【図6】。
東京都区部の周辺区(新宿区、豊島区、江戸川区など)で人口が減少しているなかで、その外周の東京都多摩地域の市や隣接3県の市で人口が増加していることが分かる。
とくに、東京都小金井市、国分寺市、三鷹市、武蔵野市、稲城市、埼玉県さいたま市、朝霞市、富士見市、千葉県千葉市中央区・美浜区、流山市、印西市、八千代市、柏市、習志野市、袖ケ浦市、神奈川県横浜市中央区・港北区、川崎市多摩区、中原区、海老名市、藤沢市、大和市など、東京近郊で主要交通網の結節点である市でその増加が高まっている。その一方で、東京都心区(千代田区、中央区、品川区、江東区など)で人口が増加している状況もみてとれる。このように2020年の1年間は、新型コロナの影響によって、人口の都心回帰と郊外へのドーナツ化の2つの現象が同時に起こったと総括することができよう。
【図6】 東京圏(1都3県)市区町村別の2020年の人口増減率
出典:総務省「住民基本台帳に基づく人口・世帯数」をもとに、2020年1月1日から2021年1月1日までの人口増減率を色別に表示
(注記)
※各都道府県の人口は、都道府県が実施している人口推計値(国勢調査人口を基準に住民基本台帳人口の増減分を加減して算出した推計値)でみるのが一般的であるが、現在は2015年国勢調査人口の基準から2020年国勢調査人口の基準への移行による補正作業が行われており、2020年から2021年にかけての人口推移を正確に読み取ることができないため、本レポートは住民基本台帳による人口の数値で統一した。