調査研究レポート(第3回) 「東京における2020年~2021年上半期の人口動向」(3)

東京都と他道府県との移動状況

 新型コロナの感染拡大が生じた2020年4月以降における東京都と他道府県との移動状況を四半期ごとにみると、2020年7~9月期、10~12月期には北海道、茨城・群馬・栃木県といった関東近県、長野県、沖縄県などへの転出超過も若干みられたが、転出超過の大半は埼玉県、千葉県、神奈川県の隣接3県で占められている。2020年後半にみられた東京都からの転出は、北海道や沖縄県のような地方ではなく、東京圏内の近隣3県に分散していったことが分かる。

 2021年1~3月期、4~6月期にかけては、北海道、宮城県、愛知県、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県などの各地方ブロックの中心県から転入超過となった一方で、東京圏内の隣接3県への転出超過も変わらず進んでいる。上記の年齢階級別の分析と照らし合わせると、進学や就職によって各地方ブロックから東京都に若年層が転入するとともに、30歳代、40歳代の青壮年層(または子育て層)が東京都から隣接3県に多く分散する状況が同時に進行したことが読み取れる【図4】。この30歳代、40歳代の隣接3県への分散が、今後の感染状況によって、どの程度続くのかが注目される。

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」をもとに作成