調査研究レポート(第3回) 「東京における2020年~2021年上半期の人口動向」

一般社団法人大都市政策研究機構 主任研究員 三宅博史


 2020年春以降の新型コロナウイルスの感染拡大は、東京(東京都及び東京圏)の人口動向にこれまでと大きく異なる影響をもたらした。2020年3月に始まった感染拡大の第1波、それに続く第2波(7~8月)、第3波(11月~2021年3月)、第4波(4~6月)、第5波(7月~)と感染状況が長期化するにつれ、その影響は拡大しつつある。しかし、このコロナ禍の影響によって、東京への流入はもはや止まった、地方への流出が始まったと判断するのは早計であろう。

 本レポートでは、コロナ禍に見舞われた2020年から2021年上半期までの東京の人口推移、人口移動の状況(転入・転出、他道府県との移動状況)について分析し、情報を提供する。
→ 「東京における2020年~2021年上半期の人口動向」(PDF)

東京都の人口動向

1-1 2020年の人口動向

 2020年1年間の東京都の総人口(住民基本台帳による人口※)をみると、感染拡大の第1波のなかでも3月に3万831人、4月に2万351人増加し、2020年5月には1388万6262人とピークを迎えた。しかし7月以降に訪れた第2波の影響で、8月は1万1939人減、9月は1万673人減の大幅な人口減少を記録し、その後、減少幅は落ち着いたものの、2021年1月時点の総人口は1384万3525人となった。2020年は年間8600人増とかろうじて人口増加となったものの、2019年の年間9万4193人増と比べると、その数は大幅に低下した【図1】。

出典:東京都「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(各月1日時点の人口)をもとに作成

 年間増加数を日本人・外国人別でみると、日本人は3万9493人増、外国人は3万893人減であり、外国人の減少がより大きな影響を与えたことが分かる。ただし、2020年8月以降は、日本人も毎月4~5000人規模で減少を続け、感染拡大の第3波が訪れた12月には8050人減と減少幅がさらに拡大した【表1】。

1-2 2021年上半期の人口動向

 2021年も長引く第3波の影響で、総人口は1月に7321人減、2月に1万891人減の大幅減少を記録した。3月、4月は大学進学、会社への就職・異動の関係で、それぞれ1万5155人、5877人の増加となったが、第4波の影響で5月にはふたたび5079人の減少に転じ、6月にも2418人の減少となった。

 日本人・外国人別にみると、2月以降、外国人が連続して減少する傾向にあるものの、日本人も1月に9765人減、2月に7963人減、5月に3029人減と、感染拡大の波とともに大きく減少している状況がみてとれる。

【表1】 東京都の人口動向(住民基本台帳ベース)

出典:東京都「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(各月1日時点の人口)をもとに作成