コワーキングスペースの立地状況
2-1 全国都市別にみた施設数
次に、現在のコワーキングスペース施設数(799施設)の立地を全国都市別に分析してみよう【図表2‐1】。
東京23区(295施設)が圧倒的多数を抱えて1位であり、大阪市(70施設)が2位に位置している。少し離れて、名古屋市、京都市、横浜市、神戸市、福岡市、仙台市などの政令指定都市が続き、各地方ブロックの中心都市に多く立地している。一方、八王子市、武蔵野市、鎌倉市、藤沢市でも4~6程度の立地があるのが注目される。これらは、東京圏の郊外都市だが、大学を多く抱える文教都市や、文化人や学者が多く居住することで知られる都市など、学術・教育や文化的な素地のある土地柄が関係している可能性がある。
2-2 東京23区内における施設数
全国的な立地が進みつつあるものの、2-1でみたように東京23区の施設数(295施設)は全国の36.9%を占め、その集積度は極めて高い。東京23区内では、立地にどのような傾向がみられるのか【図表2‐2】。
各区別の施設数をみると、上位に港区(1位)、千代田区(2位)、中央区(4位)の都心3区が占めているが、3位に渋谷区が位置するのが注目される。1位の港区は、外資系企業やIT企業などが集まる赤坂・六本木・虎ノ門、国内外の交通結節点である品川・浜松町、新橋・汐留など、多様な業務・商業・文化機能が集積する区である。3位の渋谷区は、放送・通信、広告、芸術・ファッション、IT企業などクリエイティブ産業の集積地であり、1990年代後半のITベンチャーブームのときも「シブヤ・ビットバレー」として注目を集めた。
これらの区に続き、多くの立地がみられる区は、城西地域(新宿区、豊島区、杉並区など)や城南地域(品川区、世田谷区、大田区など)の区である。このように東京23区内であっても、その立地には地域的な差があり、おおむね「西高東低」の傾向がみられる。