調査研究レポート(第6回)「日本のコワーキングスペースの拡大」(2022年12月版)

一般社団法人大都市政策研究機構
主任研究員  三宅 博史


★大都市政策研究機構では、「日本のコワーキングスペースの現状と課題」(2019年12月)で2019年6月時点のコワーキングスペース施設数の報告を行って以来、2021年から6カ月ごとの施設数の推移について報告している。本調査・研究レポートは、2022年6月及び12月の施設データを加え、分析・報告するものである。

→ 「日本のコワーキングスペースの拡大」(2022年12月版)(PDF)

コワーキングスペース施設数の推移

 コワーキングスペース施設数は、コワーキングスペースのポータルサイトである「コワーキング.com」(https://co-work-ing.com/)に登録されている施設情報をもとに、2019年6月8日、2020年8月6日、2021年6月7日、2021年12月28日、2022年6月24日、2022年12月28日閲覧時点における施設のデータベース化を図り、集計を行ったものである。

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 はじめに、2022年12月までの施設数の推移についてみていく。

 全国の施設数は、2019年6月の799施設から2021年12月の2042施設へと急増したが、2022年に入ると、6月に2087施設、12月に2129施設と、その増加数は低下し、年間増加率は4.3%となった。

 地方ブロック別にみると、南関東は、820施設(2021年12月)から864施設(2022年12月)へと、年間5.4%の増加となり、関西も326施設(2021年12月)から353施設(2022年12月)の8.3%の増加となった。その他のブロックでは、甲信越(75施設→81施設、8.0%増)、九州・沖縄(230施設→238施設、3.5%増)と増加傾向を示したが、北海道、東北、北関東、北陸、東海、中国、四国ブロックでは、ほぼ横ばい、あるいは微減となった【図表1・地方ブロック別】。

 都道府県別にみると、東京都(611施設→641施設、4.9%増)の施設数の増加が大きく目立つが、周辺三県の埼玉県、千葉県、神奈川県でも増加傾向にあり、むしろ増加率では埼玉県(13.2%増)、千葉県(6.5%増)の方が高い。大阪府(156施設→174施設、11.5%増)と周辺府県である京都府(7.1%増)、兵庫県(4.3%増)で増加傾向にある。

 また、関東からの近郊県である長野県(41施設→43施設、4.9%増)、山梨県(10施設→13施設、30.0%増)、九州ブロックの中心県である福岡県(78施設→84施設、7.7%増)も増加がみられる。 一方で、この1年間で施設数が横ばいだったのが15道府県、減少となったのが7県にのぼり、都道府県によって増加・横ばい・減少の差が生じつつある【図表1・都道府県別】。


図表1:コワーキングスペース施設数の推移(2019年6月-2022年12月)

〇全国及び地方ブロック別


〇都道府県別

出典:コワーキング.comに基づきデータ作成

注:各地方ブロック(11区分)に該当する都道府県は以下のとおり。
  北海道:北海道
  東 北:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
  北関東:茨城県、栃木県、群馬県
  南関東:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
  甲信越:新潟県、山梨県、長野県
  北 陸:富山県、石川県、福井県
  東 海:岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
  関 西:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
  中 国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
  四 国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
  九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県