調査研究レポート(第4回)「日本のコワーキングスペースの拡大」(2021年12月版)<前編>(2)

コワーキングスペースの立地状況

2-1 全国都市別にみた施設数

 次に、全国都市別にコワーキングスペース施設数の立地の推移を分析してみよう【図表2-1】。

 東京23区が、調査の4時点いずれも圧倒的多数で1位であり、大阪市が2位に位置し続けている。3位は、2021年6月に横浜市が躍り上がったが、2021年12月にはふたたび名古屋市が返り咲き、横浜市は4位に位置している。

 5位以下には、福岡市、京都市、札幌市、神戸市、仙台市、広島市、川崎市と、政令指定都市が続いている。

 12位には、那覇市(18施設)が位置し、ワーケーションとしての受け皿を確立していることが注目される。また、岡山市、新潟市、浜松市・静岡市、金沢市といった各地方の中心都市、藤沢市、町田市といった東京圏郊外都市、宇都宮市などの北関東の主要都市、大分市、熊本市、高松市、松山市などの九州や四国の主要都市でも、施設数が着実に増加していることが分かる。


出典:コワーキング.com(それぞれ2019年6月8日、2020年8月6日、2021年6月7日、
2021年12月28日閲覧時点)に基づきデータ作成

2-2 東京23区内における施設数

 コワーキングスペースの全国的な立地展開を受けて、東京23区の施設数の全国シェアはやや低下しつつあるが(2019年6月:295施設・全国シェア36.9% → 2021年12月:560施設・27.4%)、施設数自体はこの2年6か月で1.90倍に増え、現在でもいまだ全国の約3割のシェアを占めている。東京23区内の各区で、どのような立地の推移となっているかみていきたい【図表2-2】。

 各区別の施設数をみると、上位の港区(1位)、千代田区(2位)、渋谷区(3位)まで、その順位は不動であり、これらの3区はさらに施設数を増加させつつあることが分かる。中央区(4位)はやや高止まりを見せる一方、新宿区(5位)はその数を順調に増やし、4位に迫りつつある。

 6位以下には、2019年6月時点では城西地域(豊島区、杉並区など)と城南地域(品川区、世田谷区、大田区、目黒区など)の区が多く、やや「西高東低」の傾向がみられたが、ここ最近では台東区(8位)、江東区(10位)、墨田区(13位)でも施設数が増えており、都心及びその周辺地域の全域にわたって施設数が増加している状況がみてとれる。

出典:コワーキング.com(それぞれ2019年6月8日、2020年8月6日、2021年6月7日、2021年12月28日閲覧時点)に基づきデータ作成


<追 記>

後編では、全国のコワーキングスペースのサービスタイプ別分析、主なコワーキングスペース提供事業者の動向、そして2020年春以降の新型コロナウイルス感染拡大がコワーキングスペースの立地に与えた影響などについて分析を行う予定である。